Webデザイナーと聞くと、センスを活かしておしゃれなサイトを作る華やかな仕事だと思われがちです。
ところが実際の仕事は、見た目を飾るより、依頼主の目的を読み解いて形にする地道な作業が中心です。そのため、本当の仕事内容を知ると、思っていた印象とのギャップに驚く人も少なくありません。
この記事では、Webデザイナーの仕事内容を、企画から運用までの1案件の進め方に沿って解説します。
あわせて勤務先による違いや必要なスキル、似た職種との線引き、年収の目安、なり方まで取り上げます。漠然とした憧れを、具体的な職業像へと変える手がかりとして、ぜひ参考にしてください。
なお、この記事を読んで、すでに未経験からWebデザイナーを目指したいと感じ始めた方もいるかもしれません。その場合に迷いやすいのが、独学とスクールのどちらを選ぶか、どの講座が自分に向くのかという悩みです。
スクールの選び方とおすすめを未経験者向けにまとめた記事もあるので、学び方から具体的に知りたい方は、あわせて確認してみてください。
▶ Webデザイナーになるには?未経験からのなり方・4つのルートを比較解説
Webデザイナーの仕事内容とは?1案件の流れで解説

引用:厚生労働省 職業情報提供サイト job tag「Webデザイナー(Web制作会社)」
Webデザイナーの仕事は、サイト完成までの4つの工程に分けて捉えると、全体像をぐっとつかみやすくなります。デザインを描くことだけが仕事だと思っていると、全体像を見誤ってしまいかねません。
ここでは、ヒアリングから公開後の運用までの4つの工程を、順を追って見ていきましょう。
なお、本記事で示す業務割合や年収などのデータは、厚生労働省の職業情報提供サイト「job tag」の「Webデザイナー(Web制作会社)」に基づきます。
①ヒアリング・企画(要件定義)
最初の工程は、手を動かす前の準備にあたるヒアリングと企画で、ここで案件全体の方向性が決まります。約88%のWebデザイナーが依頼主と打ち合わせ、目的・内容・予算・納期を確認します。
ここで整理するのは、クライアントの狙いやターゲット、掲載内容、そしてサイト全体のコンセプトです。同サイトのデータでは、コンセプトの決定や仮案づくりも、約90%の人が担当していると示されています。
いきなりデザインに入るのではなく、何のために誰へ向けて作るかを言葉で定義することが何より重要です。ここで定めた土台がずれると後の工程すべてに響くため、地味に見えても欠かせない作業です。
②デザイン制作
2つ目は、Webデザイナーの中核といえるデザイン制作で、企画で固めた方向性を目に見える形へ落とし込みます。まず画面の設計図にあたるワイヤーフレームを作り、配色や装飾を加えた完成見本のデザインカンプへ仕上げます。
制作の現場で使う主な道具は、FigmaやAdobe Photoshopといった専用のデザインソフトです。ここで大切になるのは、見た目の美しさだけではなく、デザインが本来の目的に沿っているかどうかです。
仮案を依頼主に見せて了承を得る工程まで、約94%が行っていると示されています。修正を前提にしつつ、自分の意図を言葉にして提案できる力が、Webデザイナーには求められます。
③コーディング・実装
3つ目は、出来上がったデザインを、ブラウザ上で実際に閲覧できるWebページとして再現する工程です。主に使うのは、骨組みを作るHTML、装飾を担うCSS、動きをつけるJavaScriptです。
job tagでは、約80%がHTMLやCSSでの制作に携わり、CMSを使う制作も約82%にのぼります。どこまで担うかは会社や案件で幅があり、コーディングを専門の担当者へ任せる現場も少なくありません。
デザインだけでなく簡単なコーディングまでこなせると、対応できる案件の幅が大きく広がります。プログラマー並みの深い専門知識までは不要で、まずは基礎を固めておくだけでも十分に有利です。
④公開後の運用・更新・改善
最後の4つ目では、公開したあとのサイトの運用・更新・改善まで、継続的に担当していきます。サイトは作って公開すれば終わりではなく、その後の継続的な手入れまでが仕事に含まれます。
job tagのデータでは、公開とアフターフォローが約88%、運用中サイトの修正・変更が約90%という担当割合です。動作確認や公開作業に加えて、更新依頼への対応や、アクセス状況を踏まえた改善まで幅広く含まれます。
公開後にどれだけ成果が出ているかを見ながら、必要に応じて手を入れ続けるのも大切な役割です。このように公開後も関わり続けるからこそ、勤務先によって受け持つ範囲は大きく変わってきます。
【勤務先別】Webデザイナーの仕事内容の違い

Webデザイナーが活躍できる場は、大きく分けて制作会社・事業会社・フリーランスの3つです。同じWebデザイナーでも、どこで働くかによって任される業務の幅は大きく異なります。ここでは、3つの働き方それぞれの仕事の範囲と特徴を、下の表で比べていきましょう。
| 勤務先 | 主な仕事の範囲 | 収入・安定性 | 特徴 |
|---|---|---|---|
| 制作会社 | 複数クライアントの幅広い案件 | 給与は安定。未経験からの入口になりやすい | さまざまな業種に携わり、短期間で経験を積みやすい。締め切り前は多忙になりやすい。 |
| 事業会社 | 自社サービス・メディアのデザイン | 給与水準は比較的高め。福利厚生も安定 | 1つのサービスへじっくり向き合える。運用やマーケティングの視点まで求められやすい。 |
| フリーランス | 案件獲得から納品・請求まで一人で対応 | 収入の上限は高いが変動も大きい。安定は自己管理次第 | 働く時間や場所の自由度が高い。営業や収入の安定は自分で管理する必要がある。 |
制作会社は社員10〜20人ほどの規模が多く、分業で制作を進める職場です。また同サイトのデータでは、この職業は自営・フリーランスの割合が高いことも示されています。
未経験のうちは制作会社で実務経験を積み、その後にフリーランスへ進むのも有力な選択肢です。
Webデザイナーに必要なスキル・知識

仕事の全体像がつかめてくると、身につけるべきスキルが何かも、より具体的に見えてきます。必要となる力は大きく、デザイン・コーディング・コミュニケーションの3つに分けられます。
技術だけでなく、依頼主とやり取りするコミュニケーションの力も欠かせない要素です。このうちどれか1つだけが突出していても、案件を最後までやり切るのは意外と難しくなります。
ここでは、3つのスキルが先ほどの工程のどこで生きるのかを意識しながら、押さえていきましょう。
デザインスキル
1つ目は、デザイン制作の工程で中心となるデザインスキルで、感覚ではなく原則に基づいて設計する力を指します。配色やレイアウト、文字の選び方には、見やすさや伝わりやすさを左右するセオリーがあります。
大切なのは、なぜこの配置にするのかという理由まで、自分の言葉できちんと説明できることです。あわせて、FigmaやPhotoshopといった定番ツールを使いこなす習熟も欠かせません。
デザインのセンスは生まれつきのものではなく、知識と練習を重ねれば後からでも十分に磨けます。良いデザインをよく観察し、原則に沿って手を動かすほど、再現性のある力が育っていきます。
コーディングスキル
2つ目は、出来上がったデザインをWebページとして形にするための、コーディングスキルです。未経験者がまず押さえたいのは、HTMLとCSSの基礎と、JavaScriptの基本的な扱いです。
WordPressなどのCMSに触れておくと、引き受けられる案件の幅がさらに広がります。ただし、プログラマーほど深い専門知識まで求められる場面は、それほど多くありません。
デザインを正確に再現でき、簡単な動きを自分でつけられる水準が、一つの目安になります。完璧を狙うよりも、まず動くものを作れる状態を目標にすると、学習を進めやすくなります。
コミュニケーション・提案力
3つ目は、ヒアリングや運用の工程で生きる、技術以外のコミュニケーション力と提案力です。Webデザインは、依頼主の要望を正しくくみ取り、目的に適した形へ翻訳する仕事です。
言われたまま作るのではなく、「その目的ならこう見せた方が伝わります」と示せると評価は変わります。Webデザイナーに必要な傾聴力や説明力は、重要度が高く示されています。
デザインの意図を相手に言葉で伝えられる力は、制作物全体の説得力を支える土台です。一人で完結する仕事に見えますが、実は人とのやり取りこそが仕上がりの質を左右します。
混同されやすい職種との違い

Webデザイナーは、業務内容がよく似たいくつかの職種と、しばしば混同されやすい職業です。違いを知っておくと、自分が目指す方向や将来のキャリアの選択肢が、はっきり見えてきます。
特に紛らわしいのが、コーダー・UI/UXデザイナー・Webディレクターの3つの職種です。3つとの境目を押さえておけば、自分がどの方向へ進みたいのかも、ぐっと考えやすくなります。
ここでは、デザインの有無や、見た目か体験か、手を動かすか管理するかという観点で違いを整理しましょう。
Webデザイナーとコーダー(マークアップエンジニア)の違い
Webデザイナーとコーダーの大きな違いは、デザインそのものを担当するかどうかにあります。コーダー(マークアップエンジニア)は、完成したデザインをHTMLやCSS、JavaScriptで正確に組み上げる専門職です。
デザインそのものは作らず、与えられた設計どおりに正確にコードへ落とし込むことに専念します。一方のWebデザイナーは、デザイン制作から手がけ、案件によってはコーディングまで担当します。
実務では両方を兼ねる人も多く、経験を積みながら活躍の幅を広げる例も珍しくありません。両者の境目は固定的ではなく、担当する範囲が重なり合うこともあると覚えておくと役立ちます。
WebデザイナーとUI/UXデザイナーの違い
この2つの職種を分けるのは、見た目を作るのか、体験そのものを設計するのかという、軸足の違いです。Webデザイナーが主に画面の見た目を整えるのに対し、UI/UXデザイナーは体験全体を設計します。
UIは操作画面のわかりやすさを指し、UXはサイトを通じて得られる体験の質を表す言葉です。その分ユーザーの課題解決へ深く踏み込むため、キャリアの方向性としても関心を集めています。
見た目の設計力を磨いたうえで体験設計の知識を重ねると、任される領域は着実に広がります。一段上の専門性として頭に入れておけば、将来の目標を描くうえで心強い指針です。
WebデザイナーとWebディレクターの違い
Webデザイナーとディレクターの違いは、手を動かすか、進行を管理するかにあります。Webディレクターは、案件全体の進行管理や品質管理、クライアントとの折衝を受け持つ立場です。
自らデザインを作るよりも、チームをまとめてプロジェクトを成功へ導く役割が中心になります。そのため、Webデザイナーのキャリアアップ先の一つとしても位置づけられています。
制作の現場を理解したデザイナーが、進行管理やマネジメントへ進む道は自然な選択肢です。将来の目標として早めに頭へ入れておくと、今の自分が学ぶべきことも定めやすくなります。
Webデザイナーの年収・キャリアパス・将来性

Webデザイナーの年収は全体平均より高めで、経験を積むほど上がりやすい職業だといえます。平均年収は約540万円、平均年齢は39.1歳です。
国税庁の2024年分民間給与実態統計調査では、給与所得者全体の平均が478万円とされています。つまりWebデザイナーは、全体の平均を上回る水準にあると、公的データからも読み取れます。
キャリアパスは一本道ではなく、中堅へ成長したあとには複数の進路が選べる職業です。進行管理を担うWebディレクター、体験設計に強いUI/UXデザイナー、独立してフリーランスなどが代表例です。
デザイン力にマーケティングやマネジメントの知識を重ねると、収入はさらに伸ばしやすくなります。将来性については、生成AIの普及を理由に、仕事を不安視する声が上がることもあります。
ただし、job tagでは、高い品質で顧客のニーズに応えるデザインへの需要は、むしろ高まるとの見方です。単純な作業はAIへ任せつつ、目的に沿って設計し提案できる人の価値は、高まっていきます。
未経験からWebデザイナーになるには

未経験からWebデザイナーを目指す学び方は、大きく独学とスクールの2つに分かれます。どちらが正解という話ではなく、自分の状況に適した方を選ぶことが何よりも大切です。費用を抑えたいのか、効率と継続を重視したいのかで、向いている選択肢は変わってきます。
どちらにも強みと弱みがあり、思い込みだけで決めてしまうと遠回りになりかねません。ここでは、独学とスクールのメリットとデメリットを、公平に見比べていきましょう。
独学で学ぶ方法とメリット・デメリット
独学の最大のメリットは、費用をできるだけ抑えて学習を始められることです。その反面、進め方をすべて自分で管理しなければならない難しさもあります。
メリット
- 書籍や学習サイト、サブスク型の教材を使えば、少ない負担で始められる
- 自分のペースで、好きな時間に学習を進められる
デメリット
- 何をどの順で学ぶかを、すべて自分で組み立てる必要がある
- つまずいたときにすぐ聞ける相手がおらず、挫折につながりやすい
エラーが自力で解決できず、そのまま学習の手が止まってしまうことも珍しくありません。自分で計画を立てて調べ続けられる方には向きますが、続ける工夫は自前で用意する必要があります。
スクールで学ぶ方法とメリット・デメリット
スクールの強みは、体系立てられたカリキュラムと、質問できる環境が整っていることです。費用はかかりますが、未経験から効率よく学びたい人に向いた方法だといえます。
メリット
- 学ぶ順番が決まっていて迷いにくく、つまずいてもすぐ相談できる
- 講師の添削を受けながら、転職や案件獲得に使うポートフォリオを仕上げられる
デメリット
- 独学に比べて、まとまった費用がかかる
- 学習の時間割に、ある程度は生活を合わせる必要がある
わからない箇所をすぐ質問できる環境があれば、独学でつまずく場面も乗り越えやすくなります。どちらが自分に向くかは目的や生活スタイルで変わるため、迷ったときはスクール比較ナビの無料相談を活用してみましょう。
まとめ|Webデザイナーの仕事内容を理解して第一歩を踏み出そう

Webデザイナーの仕事は、見た目を整えるだけにとどまらず、想像以上に幅広い役割を担う職業です。企画からデザイン、コーディング、公開後の運用まで、目的を形にする工程をまとめて担います。
勤務先が制作会社か事業会社かフリーランスかによって、受け持つ範囲は大きく変わります。求められるのは、デザイン・コーディング・コミュニケーションという、3つの力の組み合わせです。
コーダーやUI/UXデザイナー、Webディレクターとは役割が分かれ、進む先の方向性も見えてきます。平均年収は約540万円と全体平均を上回り、AIの時代でも提案できる人の価値は高まっていきます。
ここまでの仕事内容を理解できれば、未経験というスタートは決して不利になりません。独学かスクールかで迷ったら、複数のWebデザインスクールを中立の立場で比較できる「スクール比較ナビ」の無料相談で、自分に合う学び方を整理できます。
気になることがあればぜひご相談してください。