Webデザイナーはなくなる?AIで消える仕事・残る仕事といつ消えるのかを解説

Webデザイナーはなくなると言われ、これから目指すべきかどうか迷っている方も多いのではないでしょうか。生成AIは短時間でデザイン案を作り、ノーコードツールを使えば専門知識がなくてもサイトを公開できる時代です。

ただし、消えるか残るかは職種単位ではなく業務単位で分かれ、Webデザイナーの仕事の中でも明暗ははっきり分かれます。自動化が一気に進んでいく業務がある一方で、人の判断がなければ成り立たない業務も確実に残り続けていきます。

この記事のテーマは、公的な調査をもとにAIで消える業務と残る業務を切り分け、いつ置き換わるのかを整理することです。自分が目指している業務が消える側と残る側のどちらにあるのかを見極める材料として、ぜひ参考にしてください。

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Webデザイナーがなくなるのは職種ではなく一部の業務

Webデザイナーがなくなると語られる背景には、生成AIによるデザイン案の自動生成と、ノーコードツールの普及があります。

ただし、この2つが置き換えているのは職種そのものではなく、Webデザイナーが担う作業の一部にすぎません。厚生労働省が運営する職業情報提供サイトjob tagで整理されているWebデザイナーの仕事は、次の通りです。

  • 依頼者の要望を聞き、サイトの目的やコンセプト、運営体制を決める
  • 画面のデザインやレイアウトを決め、画像やコメントを作成する
  • 公開前に動作確認を行い、必要な修正を加える

労働政策研究・研修機構の研究でも、過去の自動化は職業の消失ではなく、職業を構成するタスクの変化をもたらしてきたと整理されています。

型が決まっていて誰が作っても結果が近い業務もあれば、依頼者の事情を汲み取って判断する業務もあります。この記事で切り分けていくのは職種という大きな単位ではなく、業務単位で見たときの消える側と残る側です。

参照:職業情報提供サイト(job tag)Webデザイナー(Web制作会社)JILPT ディスカッションペーパー23-S-01 P.4

AIで消えるWebデザイナーの仕事

AIによる代替が先に進むのは、作業の手順と完成形があらかじめ決まっていて、判断の余地が少ない業務です。job tagの労働条件の解説にも、生成AIを利用したWebデザインとの競争という側面があると明記されています。

研究の世界では手順の決まった仕事は定型タスクと呼ばれ、コンピューター技術が代替できる領域と整理されています。ここでは、代替がすでに始まっている3つの業務を取り上げ、どこまで置き換わっているのかを具体的に見ていきましょう。

テンプレートに沿ったバナー・LPの量産作業

広告用のバナーやLPは、掲載面のサイズ違いや訴求違いによって、同じ内容を何点も作り分ける必要がある制作物です。既存のテンプレートに文言と画像を差し替える作業は手順が固定されているため、初稿の量産は生成AIだけでほぼ完結します。

A/Bテスト用に何十パターンも用意する場面では、人が一つずつ手を動かして作る意味はすでに薄れています。残るのはどの訴求で成果を取るかを決める工程であって、テンプレートに沿った差し替えの作業そのものは対象外です。

量産の担当としてのみ関わる働き方は単価の維持が難しく、案件数の減少という形でも影響を受けやすい立場です。

静的ページの単純コーディングのみの実装

デザインカンプをそのままHTMLとCSSに起こす実装は、仕様が固定されているため自動化が急速に進んでいます。デザインを読み込ませてコードを生成する機能やノーコードツールが実務に入り込み、更新の少ないコーポレートサイトなら短時間で形になります。

job tagでも、簡単に作成できるツールの普及によって、制作会社に発注せず自社で作る企業が出てきたという説明です。特に静的なページは要件の解釈が不要なぶん置き換えが早く、実装だけを請け負う立場では単価の下落と依頼数の減少が同時に起こりやすい領域です。

素材加工・単純トレースなどの定型作業

写真の切り抜きやリサイズ、色調補正、既存デザインのトレースといった作業は、以前から自動化が進んできています。画像編集ソフトの機能が高度になり、被写体の選択や背景の削除はワンクリックで終わるうえ、仕上がりの差もほとんど出ません。

さらに写真素材そのものを生成AIで用意する動きが広がり、撮影や加工を外部に依頼する場面も減っている状態です。成果物の正解が一つに定まる作業ほど人が担う理由は残らず、補助的な作業から経験を積むという未経験者の入り口も細くなる一方です。

参照:職業情報提供サイト(job tag)Webデザイナー 労働条件の特徴JILPT ディスカッションペーパー23-S-01 P.2

AIでも残るWebデザイナーの仕事

webデザイナーに求められる力をスコア化したグラフ

一方で、AIが進化しても人の関与が続く業務があり、Webデザイナーの仕事の中核はむしろこちら側へ移りつつあります。自動化の研究が置き換えにくい壁として挙げるのは、知覚と巧緻性、創造的な知性、社会的な知性という3つの領域です。

Webデザイナーの仕事の中にも、創造的な知性と社会的な知性が強く求められる工程がいくつも含まれています。ここでは、代替されにくい3つの業務を順に確認しながら、人が残る理由がどこにあるのかを見ていきましょう。

課題定義・情報設計などの上流工程

サイトを作る前の段階には、誰の何を解決するのか、どの情報を優先して見せるのかを決める工程が必ず入ります。この判断には、依頼者の事業の状況や社内の事情、予算と納期といった、公開されていない情報が欠かせません。

依頼者自身が課題を言語化できていない場面も多いため、対話を重ねながら整理していく作業も必要不可欠です。AIは与えられた条件の中で案を出せますが、条件そのものを相手から引き出す作業まで任せるのは不可能です。

何を作るべきかを定義する工程は情報がそろわない限り進まず、同じ業種でも最適な構成が変わるため汎用の正解も通用しません。

ブランド解釈・体験設計(UX)

ブランドが大切にしている価値を色や余白、動きに翻訳する作業は、研究で創造的な知性と呼ばれる領域に重なります。厄介なのは、同じ要望でも企業の歴史や顧客との関係によって適した表現が変わり、良し悪しを測る基準が一つに定まらない点です。

job tagの数値でも、創造的に考える力は3.5、独創性は3.4と、この職業で高い水準が求められると示されています。

AIが出せるのは過去の傾向に沿った無難な案であり、そこからあえて離れる決断こそが成果を分ける分岐点です。どの案を選ぶのかという評価の軸そのものを決める役割は、AIがどれだけ進化しても人の側に残り続けます。

クライアントとの合意形成・ディレクション

制作の現場で起こりがちなのは、依頼者の要望が途中で変わることや、関係者ごとに意見が割れるという場面です。誰の意見を採用し、どこで折り合いをつけ、納期と品質のどちらを優先するかを決める作業は責任の重い仕事です。

相手の反応を読み取り、交渉や説得によって合意を作る力こそ、研究で社会的な知性と呼ばれる領域にあたります。

job tagのタスク調査では、仮案を依頼主に見せて了承を得る作業の重要度が3.7と、最も高い部類に入ります。関係者をまとめて合意を取り、最終的な成果に対して責任を負うという立場は、AIが引き受けられない領域です。

参照:職業情報提供サイト(job tag)Webデザイナー(Web制作会社)JILPT ディスカッションペーパー23-S-01 P.6

Webデザインに将来性はない?AI時代に需要が伸びる人材と必須スキルを解説

消える/残るを分ける境界線はどこか

ここまで見てきた業務を分けている基準は、突き詰めていけば型が決まっているかどうかという一線だけです。

観点消えやすい業務残りやすい業務
手順型が決まっている案件ごとに変わる
判断正解が一つに定まる複数の案から選ぶ
情報指示だけで完結する相手の事情を引き出す
責任作業の完了まで成果と合意まで

境界を決めるのは作業そのものの難易度ではなく、判断と責任がどこまで含まれるのかという線引きになります。この線引きは公的な試算とも重なり、日本で自動化確率が70%以上と推計された職業に就く人は41.1%と示されています。

job tagが示す仕事の性質を見ても、機械やコンピュータによる仕事の自動化は2.1という低い水準です。経済産業省が2019年に公表した調査でも、2030年に従来型IT人材は10万人の供給超過、先端IT人材は55万人の不足と試算されています。

同じIT分野の中でも需給は正反対に振れており、定型の作業に軸足を置くほど競争は厳しくなる見通しです。ただし、この自動化確率は将来を確定させる数値ではなく、一種の思考実験として扱うべきだと研究側も注記しています。

参照:職業情報提供サイト(job tag)Webデザイナー しごと能力プロフィールJILPT ディスカッションペーパー23-S-01 P.17経済産業省 IT人材需給に関する調査(概要)P.6 表4

いつ消えるのか|Webデザイナーの仕事のタイムライン

置き換わりは、ある日を境にして一斉に起こる出来事ではなく、業務ごとに時間差を伴いながら段階的に進みます。総務省の情報通信白書によれば、生成AIの活用方針を定めた日本企業の割合は、2024年度調査で49.7%です。

前年度の42.7%からは増えたものの、半数の企業はまだ方針すら固まっておらず、現場への浸透には差があります。ここでは、進み方を3つの段階に分けたうえで、自分の仕事がどこにあるのかを確かめながら見ていきましょう。

すでに置き換わり始めている業務(現在〜1年)

最も早く影響が出ているのは、バナーの量産や素材加工といった、手順があらかじめ決まった定型の作業です。白書によると、生成AIの利用が最も多い業務はメールや議事録、資料作成などの補助で、日本では47.3%が使用しています。

発注する企業が自社でツールを使い始めると、以前なら外注していた初稿を社内で用意する動きが広がっていきます。

ただし、ハローワークの求人賃金は令和6年度で月27.3万円と前年度から0.8万円増えており、待遇が一律に下がる展開ではない状態です。作業量ではなく成果への貢献で評価される案件が中心になり、担当できる範囲の広さそのものが問われる段階です。

数年内に縮小が進むと見られる業務(1〜3年)

次に縮小が見込まれるのは、仕様が固定された静的ページの制作や、テンプレートを前提としたサイト構築だと考えられます。ノーコードツールとAIによる実装の精度が上がるほど、発注する側が自作できる範囲も広がっていく見通しです。

ただし、情報通信白書では、日本の中小企業の約半数が生成AIの活用方針を定めていないと示され、浸透の速度には幅があります。

企業が制作の進め方や発注の慣習を変えるには時間がかかるため、需要が急に消えるとは考えにくい見通しです。当面は簡単な案件から順に社内へ取り込まれ、外注に回る仕事は難易度の高いものへ絞られていくと見られます。

当面残ると見られる領域(中長期)

上流工程や体験設計、合意形成といった業務については、中長期の視点で見ても人が担い続けると考えられます。根拠となるのは、これらが社外に出ていない情報と、結果に対する責任を前提として成り立っている業務だからです。

企業が意思決定をAIに委ねるには、誤りが起きたときの責任の所在を定める必要があり、制度や契約の整備が欠かせません。研究でも、米国で自動化確率の平均が下がった要因の約9割は、人が自動化されにくい職業へ移ったことだという分析です。

参照:職業情報提供サイト(job tag)Webデザイナー 統計データ総務省 令和7年版情報通信白書 企業におけるAI利用の現状JILPT ディスカッションペーパー23-S-01 P.20

Webデザイナーはなくなるのか|よくある質問

なくなるかどうかを調べていくと、判断を迷わせる言葉に多く出会い、かえって不安が強まることもあります。職種全体の話と一部の業務の話が混ざったまま語られる場面が多いことも、評価が食い違って見える原因の一つです。

答えを一つに決めようとするより、条件ごとに切り分けて考えるほうが、結論にたどり着くのは早くなります。ここでは、消えるか残るかの見極めに直結する疑問を3つ取り上げて、順番に答えと理由を整理していきましょう。

Webデザイナーが「オワコン」と言われるのはなぜ?

オワコンという評価が広がる一因は、ハローワークの有効求人倍率が令和6年度で0.12と低い水準にある点です。ただし、この数値はハローワークの求人に限られており、その職業のみを表す統計ではありません

一方で賃金構造基本統計調査による平均年収は539.6万円であり、求人賃金も前年度から増えている状態です。研究でも、定型タスクの需要は低下する一方で非定型タスクの需要は高まり、労働の二極化が生じたと整理されています。

量産や単純な実装を主に担当する層ほど影響を受けやすく、その声が職種全体の評価として広がった構図です。

参照:職業情報提供サイト(job tag)Webデザイナー 統計データJILPT ディスカッションペーパー23-S-01 P.3

未経験から今Webデザイナーを目指すのは遅い?

結論から言えば、目指す業務を選べば遅くありません。遅いかどうかはいつ始めるかよりどの業務を目指すかで決まるからです。

量産や単純な実装だけを前提にすると競争は厳しくなりますが、上流工程や体験設計まで見据えるなら、始める時期の遅れは問題になりません。実際、job tagでも入職に学歴や資格は不要とされ、入職前の実務経験が「特に必要ない」という回答は39.6%で、参入のハードル自体は低い職種です。

だからこそ、どの業務を目標に置くかを先に決めてから学び始めることが、遅れを気にせず前に進む近道になります。

参照:職業情報提供サイト(job tag)Webデザイナー 就業するには?

AIがさらに進化したら結局すべて消える?

技術がこの先さらに進んでも残る業務が消えにくい理由は、AIの性能ではなく仕事の構造そのものにあります。上流や合意形成が人に残る理由は単純で、AIには社内にしかない事情を自分で集めることも、失敗したときの責任を取ることもできないからです。

JILPTの研究でも、技術の進歩は一部のタスクを不要にする一方で、それまで存在しなかったタスクを新しく生み出すと指摘されています。たとえば、AIに何をどう作らせるかを設計し、出てきた成果を検証して整える仕事は、AIが広まったからこそ生まれた役割です。

だからこそ、「すべてが消える」と身構えるよりも、担う仕事の中身が入れ替わっていくと捉えるほうが、実態にはずっと近いと言えるでしょう。

参照:JILPT ディスカッションペーパー23-S-01 P.21

まとめ|Webデザイナーはなくならないが消える業務はある

Webデザイナーという職種そのものがなくなるとは考えにくい一方で、消えていく業務は確実に存在します。テンプレートに沿った量産、仕様が固定された実装、素材加工といった定型の作業は、すでに置き換えが進んでいます。

反対に、課題定義や体験設計、関係者との合意形成は人の側に残ります。判断のもとになる情報が社内にしかなく、結果の責任も人が負うからです。両者を分けるのは、型が決まっているかどうか。型のある定型作業は、数年のうちに縮小していきます。

上流の業務は、中長期まで残ります。だからこそ、どの業務を主戦場に選ぶかで、この先の道は大きく変わります。「Webデザイナーはなくなる」という不安の多くは、職種と業務をひとまとめに考えることから生まれます。まずは、自分が関わる業務が消える側か残る側かを見極めてください。

ただ、残る側を目指すと決めても、どのスクールが合うかは目的や予算で変わります。スクール比較ナビの無料相談では、30校以上を比較し、費用や期間の目安まで含めて候補を絞り込みます。目指す業務から逆算して、学ぶ順番まで一緒に決められるのが特長です。独学で遠回りする前に、方向性を整理する場としてぜひ活用してください。

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